発達障害(注意欠陥障害)とお薬の話
前書き
みなさんは発達障害というものをご存知だろうか?
発達障害(はったつしょうがい、Developmental disorder)とは、先天的な様々な要因によって主に乳児期から幼児期にかけてその特性が現れ始める発達遅延であり、自閉症スペクトラム (ASD) や学習障害 (LD)、注意欠陥・多動性障害 (ADHD) などの総称。
大人の発達障害(おとなのはったつしょうがい)とは、発達障害者のうち、主に大学生以上の成人期の人及びそれに関連する問題に関して用いられる用語である。
私は発達障害の一つである注意欠陥障害との診断を受け、注意力を増す効果がある(!)お薬を処方されている。このお薬のすばらしさを広めたくて、この記事を書こうと思った次第だ。
このチェックリストに引っかかる方、自分が発達障害かもしれないと思っている方、身近に発達障害の疑いがある人がいる方、大人の発達障害なんてただの甘えだろと思っている方なんかに、以下の文章を読んで頂きたい。
診断を受けるまでの経緯
新卒*1で今の職場に配属されて2年が経過した時、私は鬱になっていた。仕事がうまくいかなかったからだ。
その頃、わたしは簡単なルーチンワークでさえ些細なケアレスミスを頻発していた。2年目ともなると、配属されて初めのうちは使えた「まだ仕事に慣れていないから」という免罪符が使えなくなってきたころである。焦った。大いに焦った。ケアレスミスはどうやっても発生するし、ケアレスミスが混入するような仕事のプロセスが悪いと思った。しかし私の周りの人々は、私と同じやり方で仕事をしながらもミスをしないのだ。私は周りの人間より劣っているのだと突き付けられた気がした。惨めだ。思い出したら涙ぐんできた。ぐすぐす。
そのうち鬱の身体的症状*2も酷くなってきて、私はこころの病院に駆け込んだ。「これこれこういった症状があります。仕事がうまくいかないことが原因だと思います」「そうですかでは抗鬱剤を処方します」ーーそうして私はパキシルというお薬を入手した。が、今振り返ってみるとこのお薬はあまり適していなかった。
パキシルを飲むと頭がぼんやりした。それから副作用の眠気が凄まじかった。ぼんやりしている、眠い時に仕事をすれば、そりゃあケアレスミスは多くなる。当たり前だ。しかも悪いことに、パキシルが鬱に効いていると感じることはなかった。プラセボ効果くらいしかなかった。鬱になる→お薬を飲む→ミスが増える→鬱になるーーそんな阿呆な悪循環、阿呆循環と呼べるものを繰り返していた。「薬のむのやめろよ!」と今では思う。しかしその時は、「まだお薬の効果が出ていないだけかもしれない」と思っていたし、「お薬は効くはずだ」と思い込もうとしていたせいで、お薬をやめるという決断は下せなかった。
しかし、一向に薬の効果が出ない。仕事のミスはなくならない。私は「処方されたお薬が向いていないんじゃないか?」という疑いを持ち始めた。更に「私はどうしてこんなにミスが多いのだろう」と考えるようになった。そこでGoogle先生に聞いて、発達障害(注意欠陥障害)というワードに辿り着いた。その次の診察の日、わたしと医者は確かこんなような会話を交わした。
「仕事のミスはなくなりません。お薬も眠くなるばかりで効果を感じられません」
「鬱になると注意力が散漫になるからね。お薬を変えてみようか」
「鬱になる前から、私はミスが多いんです。ミスが多いことがうつの原因なのです」
「ミスが多い、つまり注意力がないっていうのは、いつ頃から続いているの?」
「さあ。子供の頃からそうだった気がします。落ち着きのない子供でした」
大人のADHD症状チェックリスト にあるようなことを大体聞かれて、「じゃああなたは発達障害かもしれませんね」という言葉を頂いた。やっぱりね。私もそう思っていたんだ。
ADHDと診断するためにはいくつかテストをしなければならないらしく、その日はADHDの診断はもらえなかった。そして言われたとんでもない一言がこれだ。
「発達障害のテストをしたいという人はいっぱいいまして、あなたがテストを受けられるのは早くて4ヶ月後になります」
マジかよ。
そうしてその日家に帰って、やっぱり発達障害なのかなあと改めて考えて、泣いた。発達障害て。私の頭はポンコツなのか? 他の人より劣っているのか?*3 劣等感に潰されそうだった。
まあ、昔っから泣き虫なんだよね。
診断結果
4ヶ月後、発達障害(アスペ&ADHD)のテストを受けた。テストの1週間後に検査結果報告書を見せられた。こんな風に書かれていた。
1)AQ結果:非該当
2)ASRS結果:ADHDの可能性が考えられる
AQというのはアスペのテストで、ASRSはADHDのテストらしい。結果は想像していた通りだった。私はここで泣ーーきはせず、大いに喜んだ。 4ヶ月の間に、色々考え方が変わっていたのだ。ADHDってことはつまり、私のミスが多いという性質は「仕方のない」ことだったんだ。私がミスをなくそうといくら頑張ったって大して効果はないし、私は悪くない。そう考えるようになっていた。開き直りである。
そうして私のドジっ子属性は、医者に認められることとなった。
お薬の話
問題。
Q.発達障害の診断を受けると、何かいいことあるの?
A.お薬がもらえるの。
はじめに処方された薬はストラテラだった。私には大して効果がなかったので説明は省略。
ストラテラが効きません! と医者に言ったら、次に処方されたのはコンサータだった。こいつがてきめんに効いた。大人のADHD症状チェックリストにあるようなことが、できるようになるのだ。こんなかんじ。
- つまらない、単調な作業をする際に、注意を集中し続けることができるようになった。
- 常に感じていた落ち着かない感じがなくなった。
- デスクに30分以上着席していても苦痛を感じなくなった。
- 計画性を要する作業を行なう際に、作業を順序だてることができるようになった。
そう、今まではこんなことすらマトモにできていなかった。お薬を飲むまでは、それもあまり自覚できなかった。「常に感じていた落ち着かない感じ」を感じないようになってはじめて、私は今まで落ち着かない感じを感じていたのだと気づけのだ。
お薬バンザイ! お薬最高!
発達障害には有効なお薬があるってことを、とにかく広めたい。拡散希望。発達障害かもと悩んでる人はできるだけ早く検査を受けるべきだと思う。検査して発達障害と診断されないと、このお薬はもらえないのだ。薬事法で決まってるらしい。
あああコンサータちゃんおいしいよお。
ちなみにこのお薬、軽い依存性あるらしい。覚せい剤みたいだね、うん。私は土日飲まなくっても大丈夫なので、肉体的には依存していない。けれど精神的には結構依存してしまっていると思う。お薬をうっかり飲み忘れちゃうと、とたんに何事にもやる気がなくなって駄人間モードに入る。
あとこのお薬、薬価が馬鹿みたいに高い。そのうちお薬を飲まなくてもよくなるように、認知行動療法するべき。